物流会社なのに古物商の許可を取得!? 事務所移転の利便性を大幅に向上させる中古品の買い取りと販売
今回の現場:SBSロジコム ファシリティ営業開発部
SBSロジコムは、2025年11月に古物商の許可を取得しました。この話を聞くと、多くの人は「物流会社が古物商?」と思うでしょう。
実は、自治体や民間企業の移転を担っている物流会社だからこそ、古物商の許可を取ることで、中古什器の価値を生かすことができ、お客さまのコストや手間、環境負荷を減らし、さらにはSBSの競争力の向上にもつながるのです。
この取り組みを主導したファシリティ営業開発部の部長である渡辺義隆さんに詳しくお話を聞きました。
1.古物商の許可を取得してお客さまの課題を解決し、同時に競争力を高める
SBSロジコムが古物商の許可を取得し、自治体や民間企業の移転サービスに“中古品の売買”を組み込んだのには大きく2つの理由があります。
1つは、お客さまからの相談です。東日本大震災以降、多くの庁舎が避難場所としての耐震基準を満たしていないことが発覚し、現在でも庁舎の移転を進める自治体は少なくありません。SBSロジコムは、そうした自治体の移転に数多く取り組んでおり、その度に「廃棄コストを下げられないか」「什器類を売れないか」と相談を受けてきたそう。
しかし、自治体の什器には古いものが多く、また、税金で購入しているため簡単に売ることができないという現状があります。
こうした声を受け、“中古品の売買”という取り組みの開発を行なったのが、ファシリティ営業開発部の部長、渡辺義隆さんです。
「以前から、自治体で不要になった什器は近隣の自治体の関連施設などに『使いますか?』と確認し、声がかからなかったものは全て廃棄しており、これらを有効活用できないかと考えていたんです。
また、“中古品の売買”を始めたもう1つの理由として、SBSロジコムの競争力を高めたい、という狙いもあります。事務所移転に取り組む競合他社は、免許の問題もあり、『廃棄ができず、当然リユースもできない』、もしくは、『廃棄はできるが、リユースはできない』という状態です。SBSグループで『廃棄ができ、リユースまでできる』というシステムをつくれば、差別化の難しい事務所の移転業務のなかでも大きな競争力になると思ったんです」
お客さまの課題を解決し、同時にSBSロジコムの競争力を高めるために、2025年11月、SBSロジコムは古物商の許可を取得。物流会社でありながら、お客さまにとって不要になった中古の什器などを購入し、リサイクル会社などに販売をすることが可能になりました。
2.自治体の庁舎や企業のオフィスの什器には意外なニーズが!

現在、「中古品の売買」は、特別なサービスではなく、通常の移転業務の一環として、お客さまの要望があれば常時行なっています。依頼を受けると、SBSロジコムの社員と協力会社のスタッフが現場を訪れ、買い取り可能な品物を査定。移転先のレイアウトなどを確認しながら、不要な什器を選定することも可能だそうです。その後、中古品の買い取り金額と廃棄費用を提示する、という流れになります。一般的に、中古品の売買は不正が起きやすい面があるため、SBSの担当者が現場で数字をしっかり確認し、トラブルを防いでくれます。
なお、買い取りした什器などは、リサイクルオークションに出品するものと、マテリアル買い取りといい、鉄などのように原料として再資源化されるものに分かれるそうです。
渡辺さんによると、“自治体でも民間企業でも、想像する以上に売れるものは多い”といいます。
「使い込んだ椅子などはそのままリユースするのは難しいですが、鉄の部分はマテリアル買い取りが可能ですし、机などはリペアして東南アジアへ送られ、『日本製は質がいい』と重宝がられていると聞きますね。あとは、レアメタルや半導体の入ったエアコンや電子機器なども高値で買い取りできます。
オフィスにあるものは、廃棄となる布や木以外なら買い取りできるものが多いですね。というのも、例えば工事現場などで一時的に使う長机や椅子などは新品である必要がないため、オフィスにある中古の什器にはニーズがあるんです。
買い取りが難しいのは、古い旧JIS規格のデスクや書棚、防犯登録のある自転車やバイクですね」
3.“中古品の買い取り”は、コストや手間、環境負荷の低減を実現
移転における“中古品の売買”が可能になったことで、お客さまにとってはさまざまなメリットがあります。
例えば、移転に関するコストの削減。中古品の買い取り金額は移転にかかる費用と相殺されますが、想像以上に大きくコストを減らすことができます。
「ある庁舎の移転の見積もりをした際、廃棄に5000万円必要でしたが、主にマテリアル買い取りで1500万円の買い取り価格がついたことがあります。このケースでは廃棄費用を3500万円に減額することが可能です。現金のやり取りをせずにほかの費用と相殺することで、透明性を保ち、同時に減価償却などの会計上の手続きの手間を防いでいます」
また、二酸化炭素を含む温室効果ガスの排出削減目標を設定している大手企業にとっては、廃棄物を減らすことで排出量を抑えることができ、環境負荷の低減にもつながるのです。
さらに、一般的に大きな企業や自治体の移転では、廃棄やリユース、移転業務など、複数の会社と相談を重ねる必要があります。しかし、“中古品の売買”ができることで、窓口を1つにして手間を減らすことができるのです。
「お客さまにとってはもちろん、環境にとっても、競争力を高めるという点で私たちSBSロジコムにとっても利点は多いと思っています。お客さまからは『物流会社が買い取りをやってくれるの?』と驚かれることが多いですね。移転をする企業で買い取りをやる企業はほとんどいませんからね」
4.すべての事業所で中古品の買い取りを行う未来
“中古品の売買”の取り組みはまだ始まったばかりで、現在は「ファシリティ営業開発部」のみで行なっています。今後は、事業所ごとに管理者を立てて古物商の事業者登録を行い、SBSロジコムの社内で取り組みを広げていきたいと渡辺さんは話します。
「まずは、自分たち自身である程度は『これは売れる』『これは売れない』といった査定ができるように経験を積み、同時に、先ほども話したように不正が絶対に起きない仕組みを構築し、しっかりとしたマニュアルを作りたいと思っています。そのマニュアルをもとに、各事業所で取り組みを行えば、SBSロジコムとしての競争力は大きく向上すると思いますし、収支にも貢献できるはずです。まだ始まったばかりですが、あと5年くらいですべての事業所で取り組めるようになればいいなと思っています。
あとは、現在は“中古品の売買”を行うのは自治体の移転が中心なのですが、今後はもっと民間企業の移転にも広げていきたいと思っています。民間企業であれば、買い取り価格が高くなることも多いと思いますし、この取り組みのメリットをさらに生かせるはずです」
