物流を守れ!ドライバーの安全意識を高め、事故を減らすSBSロジコムの安全運転講習会

今回の現場:SBSロジコム 佐倉物流センター支店
社会的に大きな話題になった物流の“2024年問題”。その影響を受け、物流業界ではトラックのドライバー不足が深刻化し、現場ではドライバーの確保が難しい状況になっています。結果として、トラックの運転に慣れていない新人ドライバーが増え、現在、物流における最重要課題の1つである安全性の低下が懸念されているのです!
そんななか、SBSロジコムの佐倉物流センター支店では、2018年から年に1度、座学や乗車研修などを行う「安全運転講習会」を実施しています。この講習の受講者は、事故を起こすことがほぼ無くなる(!)など、とても高い成果を挙げているのだとか。
そこで、安全運転講習会の開催を決めた支店長の大槻さんに、その経緯や目的をヒアリング。また、2025年4月に開催された佐倉物流センター支店の安全運転講習会へ潜入! 佐倉物流センター支店の安全意識に迫ります。
1.不慣れなドライバーの運転技術を向上させたい!

「現在はトラック運転の経験がまったくない人にも頼らざるを得ないほどドライバーさんが不足しており、異業種から転向する人が増えているんです」
そう語るのは、佐倉物流センター支店の支店長、大槻直紀さん。
実は、大型トラックは大型免許が必要ですが、佐倉物流センター支店の主力である小型〜中型のトラック(下写真のトラック)は、免許を取得した年代によっては普通自動車免許でも運転でき、トラックの運転が未経験でもドライバーになれるのです。

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そのため、佐倉物流センター支店では、入社後2週間程度はベテランドライバーに同乗して運転技術を学びつつ、その間に本社の運行管理部で安全教育を受け、 その後、ベテランドライバーのお墨付きが得られるまで新人ドライバーがハンドルを握りながら指導を受ける、というカリキュラムがあります。独り立ちの最終見極めには、20以上のチェック項目をクリアする必要もあります。
多くの新人ドライバーは、この研修期間で問題なく独り立ちできるそうですが、なかには運転に不安を抱える人もいるのだとか……
「以前、一部のドライバーさんから、『いつまでたってもバック走行に慣れません!』『車幅の感覚が掴めず、細い道に入ってしまいました……』という悩みが寄せられたんです。彼らとどうすればいいのか話していると、バック走行などの難しい部分を集中的に学び、納得できれば対応できそうということだったので、本部の運行管理部に相談しました。すると、安全運転講習会という講習があると聞き、2018年から佐倉物流センター支店でも開催すること決めたんです」
こうして、これまでのカリキュラムに追加される形で始まった安全運転講習会。実際に潜入してみました!
2.重要なのは、実際に体感すること、ドライバーの要望に応えること

2025年度4月23日に開催された安全運転講習会。参加するのは、入社1年未満のドライバーと、“100mのバック走行が必要な店舗”や、“歩行者の多い駅前の店舗”など、搬入の難易度が高い店舗には対応できないドライバーたち。
安全運転講習会では、まずは座学でトラックの高さや長さといった構造的な特徴や死角の範囲、ミラーの調整、内輪差と外輪差、車間距離など、安全運転に必須の知識について学びます。
※2025年は時間の関係で座学は中止

あいにくの天気のなか、屋外では実際にトラックを使い、講師のベテランドライバーが軽やかに降車や乗車の見本を見せ、参加者に実践してもらったり、サイドミラーから死角の位置にポールを置き、見え方を確認してもらったりしていきます。
後半には、「このままバック走行したら、ポールにあたると思う?」「この状態でハンドルを切ったら内輪差はどのくらい?」といった問いかけを行い、参加者1人1人の感覚を検証します。

大槻さんによると、このように “参加者全員に実際に体感させること”が重要なんだとか。
「話を聞いたり、見本を見たりするだけでは、感覚ってなかなか伝わらないんですよね。ドライバーさんごとに身長や体型、視力などは異なりますから、実際にトラックに乗って、例えば1mと3mの車間距離のちがいを自ら確認することが大切だと考えています。講習によって、頭では何となくわかっていることでも、“感覚のズレ”を正すようなイメージかな」
また、佐倉物流センター支店では、ドライバーの要望を聞き、講習の内容を柔軟に変えていることもポイントの1つだそう。
「2022年に佐倉エリアで大雪が降ったとき、タイヤチェーンをつけるのに苦労したというドライバーが少なくなかったんです。そこで、その年はチェーンの正しい巻き方を講習に入れてもらいました。細かなコツを詳しく教えてもらいながら全員で実践できたので、とても役立ちましたね」
3.“苦手意識の克服”が、短時間でも大きな成果を上げる

ここ数年、佐倉物流センター支店では、安全運転講習会の影響もあり、事故件数は確実に減少しています。
講習を受けたドライバーからは、「安全運転に対する意識が大きく変わり、以前よりも余裕をもって車間距離を取るようになりました」「正直、講習を受ける前はおっかなびっくり運転していましたが、バック走行などでも目安ができたので、安心して運転できるようになりました!」といったポジティブな声が寄せられているそう。
安全運転講習会は、短い時間でありながら、“事故の減少”や“ドライバーの意識改革”といった大きな効果を上げているのです!
「トラックの運転に慣れていないドライバーさんたちにとって、“苦手意識の克服”という面が大きいのかなと考えています。トラックって、ドライバー個人のものではないので、貨物を運んでいるときしか運転できませんし、自由にバックの練習などをすることはできないんです。ですから、短い時間であっても、日常的に不安を感じている運転技術の確認をしたり、練習をしたりできるのは、とても有効なんですね」
4.ドライバーの意欲を大切にし、運転技術を学ぶ環境を整える

苦手意識を持ったドライバーに安全運転講習会を開くことで、日々忙しく業務に取り組むドライバーたちの安全意識を高めている佐倉物流センター支店。
最後に、さらなる安全運転を実現するために取り組んでいきたいことを大槻さんに聞きました。
「個人的には、ドライバー不足により店舗配送に影響が出ている現状があっても、ドライバーさんたちの運転に関するチャレンジや要望に関しては、なんらかの形で学びの機会をつくっていきたいと考えていますね。そうすることで、より安全な運転になり、安定した配送した可能になりますし、働くモチベーションにもつながると思います。佐倉物流センター支店のドライバーさんたちには、研修などの情報はどんどん発信していきたいかな」